所得控除について知りましょう!
所得税の計算の流れ
所得税を求めるには、1年間(1月1日~12月31日)の収入から経費を差し引いた金額を計算します。
収入が給与の場合、必要経費の代わりに給与所得控除額を差し引きます。
収入が公的年金等の場合、必要経費の代わりに公的年金等控除額を差し引きます。
これらの必要経費や給与所得控除、公的年金控除額を差し引いいた後の金額を「所得」といいます。
そして、この所得から配偶者控除や社会保険料控除などを差し引いたものを「課税所得」といいます。
この課税所得に税率をかけて、控除額を差し引いいた物が「所得税」となります。
尚、所得税の税率は、課税所得が多くなるほど高くなる超過累進課税率が採用されています。
所得から差し引できる所得控除は14種類
・雑損控除 ・医療費控除 ・社会保険控除 ・小規模企業共済等掛金控除 ・生命保険控除 ・地震保険控除 ・寄付金控除 ・障害者控除 ・寡婦(夫)控除 ・勤労学生控除 ・配偶者控除 ・配偶所特別控除 ・扶養控除 ・基礎控除
1,雑損控除
災害や盗難、横領により住宅や家財に損害を受け、その損失額が一定額を超える場合には、その超える
金額を所得から控除することができます。
なお、生活に通常必要でない資産(別荘や宝石など)、棚卸し資産や事業用の固定資産などの損失
については、雑損控除の対象になりません。
2,医療費控除
本人や、本人と生計を一にする親族の医療費を支払った場合、所得から控除することができます。
●医療費控除計算式
医療費を 総所得金額等 X 5%
医療費 ー 補填する ー 又は 10万円 = 医療費控除額
保険金等 のいずれか低い方 (上限200万円)
●セルフメディケーション税制
特定一般用 購入費を 特例による
衣料品など ー 補填する ー 1万2000円 = 医療費控除額
購入費 保険金等 (上限8万8000円)
3,社会保険料控除
本人や、本人と生計を一にする親族の社会保険料を支払った場合、または給与や年金から控除された場合には、その支払った金額、またはその控除された金額を所得から控除することができます。
社会保険料とは下に示す保険料などです
→ 国民健康保険の保険料、国民年金の保険料、国民年金基金の掛金、介護保険の保険料、後期高齢者医療保険料
4,小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済等掛金を支払った場合には、その全額を所得から控除できます。
5,生命保険料控除
本人又は親族を保険金等の受取人とする生命保険料、又は共済保険料を支払った場合、
所得から差し引く事ができる。
新契約(平成24年1月1日以後締結の保険契約)
年間支払い保険料 控除額
20,000円以下
→ 支払い保険料の全額
20,000円以上 40,000円以下 → 支払い保険料 × 1/2 + 10.000円
40,000円以上 80,000円以下 → 支払い保険料 × 1/4 + 20.000円
80,000円以上
→ 一律40,000円
旧契約(平成23年12月31日以前締結の保険契約)
年間支払い保険料 控除額
25,000円以下
→ 支払い保険料の全額
25,000円以上 50,000円以下 → 支払い保険料 × 1/2 + 12,500円
50,000円以上 100,000円以下 →
支払い保険料 × 1/4 + 25,000円
80,000円以上
→
一律50,000円
6,地震保険料控除
本人又は親族を保険金等の受取人とする生命保険料、又は共済保険料を支払った場合、所得から差し引く事ができる。
7,寄付金控除
本人が特定の寄付金を支出した場合、所得から下の計算式の除額を差し引いた値です
特定寄附金の合計額、又は総所得金額等×40%のいずれか低い方から ー 2000円 =寄付金の控除額
特定寄附金とは
- 国や地方公共団体に対する寄付金 → 「ふるさと納税」は地方公共団体に対する寄付金に当ります。
ふるさと納税には確定申告を行わずにふるさと納税の寄附金控除を受けられる仕組みの「ふるさと納税ワンストップ特例制度」があります。
- 公益社団法人、公益財団法人などに対する寄附金のうち財務大臣が指定したものです。
- 下記の特定公益増進法人に対する、この法人の主目的の行見に関連する寄付金
(国税庁の説明から抜粋)
1 国又は地方公共団体に対する寄附金
注:学校の入学に関して寄附するものは除きます。次の2項 及び3項においても同じです。2 指定寄附金
公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金で、
広く一般に募集され、かつ公益性及び緊急性が高いものとして、財務大臣が指定したもの
3 特定公益増進法人に対する寄附金
公共法人等のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に
著しく寄与するものと認められた特定公益増進法人に対する寄附金で、その法人の主たる
目的である業務に関連するもの
4 特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭
主務大臣の証明を受けた特定公益信託のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、
社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与すると認められる一定の公益信託の信託財産
とするために支出した金銭
5 認定NPO法人等()に対する寄附金
特定非営利活動法人のうち一定の要件を満たすものとして認められたものなど(認定NPO法人等)
に対する寄附金で、特定非営利活動に係る事業に関連するもの
「認定NPO法人等の一覧は、内閣府ホームページ(www.npo-homepage.go.jp)をご覧ください。
6 政治活動に関する寄附金
個人が支出した次の団体等に対する政治活動に関する寄附金のうち、一定の要件に該当するもの
(1)政党(支部を含みます。) (2)政治資金団体 (3)その他の政治団体で一定のもの
(4)一定の公職の候補者
7 特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額など
8、障害者控除
本人が障害者、又は障害者である同一生計配偶者、もしくは扶養親族がある場合には
所得から障害者一人に付き27万円(特別障害者は40万円)控除できます。
9、寡婦(夫)かふ 控除
納税者が寡婦である場合、確定申告で税金控除が適用され、27万円の控除が受けられる制度を
寡婦控除といいます。
寡婦・寡夫とは
寡婦とは、結婚後に夫と死別あるいは離婚するなどしていて再婚しないでいる、扶養家族
(総所得額が38万円以下で扶養している子供)がいる女性のことを指します。
寡夫とは、結婚後に妻と死別あるいは離婚するなどしていて再婚しないでいる、扶養家族が
いる男性のことを指します。
10,勤労学生控除
本人が勤労学生である場合には、所得から27万円控除できます。
11,配偶者控除
本人の所得が1000万円以下で、合計所得金額が38万円以下の配偶者がいる場合
下記の配偶者控除が受けられます。
控除対象配偶者=38万円(本人所得900万以下)
26万円(本人所得900万~950万)
13万円(本人所得950万~1000万)
12、配偶者特別控除
本人の所得が1000万円以下で、合計所得金額が123万円以下の配偶者がいる場合
下記の配偶者特別控除が受けられます。
本人所得900万以下 本人所得950万以下 本人所得1000万以下
配偶者 38~ 85万円
38万円
26万円
13万円
配偶者 85~ 90万円
36万円
24万円
12万円
配偶者 90~ 95万円
31万円
21万円
11万円
配偶者 95~100万円
26万円
18万円
9万円
配偶者100~105万円
21万円
14万円
7万円
配偶者105~110万円
16万円
11万円
6万円
配偶者110~115万円
11万円
8万円
4万円
配偶者115~120万円
6万円
4万円
2万円
配偶者120~123万円
3万円
2万円
1万円
13,扶養控除
満16歳以上の扶養家族がいる場合には、所得から下記の控除額を差し引くことが
できます。
控除額
扶養親族 70歳 ~
58万円 ← 同居老親等
扶養親族
70歳 ~
48万円 ← その他
扶養親族
23歳 ~ 70歳 38万円
扶養親族 19歳 ~ 23歳
63万円
扶養親族 16歳 ~ 19歳 38万円
14,基礎控除
すべての人が所得から38万円控除できます
所得税の基礎控除とは、納税者はすべてに一律の所得税38万円・住民税33万円を所得金額から
差し引くことができる所得控除のことです。 基礎控除は、所得控除の一つに含まれています。
年末調整や確定申告をきちんと申請することで、基礎控除を受けることができます。